シンバイオ製薬 Research Memo(5):2019年12月期は「トレアキシン」の品質問題発生により減収

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最新投稿日時:2020/04/03 15:15 - 「シンバイオ製薬 Research Memo(5):2019年12月期は「トレアキシン」の品質問題発生により減収」(フィスコ)

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シンバイオ製薬 Research Memo(5):2019年12月期は「トレアキシン」の品質問題発生により減収

配信元:フィスコ
投稿:2020/04/03 15:15
■業績動向

1. 2019年12月期の業績概要
シンバイオ製薬<4582>の2019年12月期の売上高は前期比26.0%減の2,837百万円、営業損失は4,301百万円(前期は2,656百万円の損失)、経常損失は4,376百万円(同2,748百万円の損失)、当期純損失は4,376百万円(同2,752百万円の損失)となった。売上高は「トレアキシン(R)」の国内販売においてアステラス製薬<4503>の欧州子会社(アステラスドイツ)から輸入した製品において異物混入や外観不良等が見つかり、一時的に輸入及び販売を停止したことが減収要因となった。「トレアキシン(R)」の製造工場(ベルギー、ドイツ)のうち、同社の仕入先であったドイツの工場で製造工程や品質管理に問題があったようだ。ただ、その後、ベルギーの工場から仕入れた製品についても不良品があり、結果的に前期比並びに会社計画比で大きく下回る結果となった。同社は今回の品質問題を受けて、アステラスドイツに対して供給元の安定供給責任を果たすべく、改善を求めることを含めて協議を継続している状況にあるが、現時点ではまだ品質問題は完全には解決していないようだ。なお、「トレアキシン(R)」の2019年の末端市場は薬価ベースで前期比横ばいの約84億円だったと見られる。同社からの出荷は減少したものの、販売パートナーであるエーザイやその先の医薬品卸業者が保有する在庫分が捌けたことによるものと見られる。

費用面では、研究開発費が前期比33.2%増の2,441百万円となった。このうち540百万円は前述した「BCV」に関する契約一時金の支払いとなり、そのほか「トレアキシン(R)」や「リゴセルチブ」の臨床試験費用などを計上した。その他販管費は同36.5%増の2,724百万円となったが、主に「トレアキシン(R)」の自社販売体制構築に向けた準備費用の増加によるものとなっている。「トレアキシン(R)」の地域販売マネージャーとトレアキシンマネージャーを2019年12月期第4四半期に追加採用したほか、流通及び物流機能を整備すべく医薬品卸事業者との業務提携及び物流センターの2拠点化(東日本地域及び西日本地域)の確立、情報システムの整備も進めた。


2020年12月期の売上は回復、費用は引き続き増加見通し
2. 2020年12月期の業績見通し
2020年12月期の業績は売上高で前期比20.0%増の3,404百万円、営業損失5,090百万円(前期は4,301百万円の損失)、経常損失5,134百万円(同4,376百万円の損失)、当期純損失4,803百万円(同4,376百万円の損失)を計画している。売上高は「トレアキシン(R)」の仕入量が回復することで2期ぶりに増収に転じる見通しだ。

一方、費用面では引き続き研究開発費、その他販管費の増加を見込んでいる。研究開発費は「BCV」の契約一時金540百万円がなくなるが、「トレアキシン(R)」の液剤タイプとなるRTD製剤の販売承認によるマイルストーン支払い500百万円を見込んでいるほか、「トレアキシン(R)」「リゴセルチブ」に加えて新たに「BCV」の臨床試験費用が加わることで、前期比11.9%増の2,731百万円を計画している。

また、その他販管費については自社販売体制の準備費用を中心に、同28.6%増の3,505百万円を計画している。営業体制や物流体制、社内の情報システムついて2020年12月期第2四半期までに構築を終える予定で、2020年12月の販売契約終了後、直ちに自社販売を開始する予定にしている。営業体制は全国を6ブロックに分けて62名(うち、正社員で約30名、契約MR(医薬情報担当者)で約30名)で、現地密着型の体制を構築する。2020年4月から契約MR社員30名を採用し、教育研修を進めていく予定だ。受発注システムなど社内の情報システムについては、下期からの本稼働に向けて現在、試験稼働を行っており、2020年12月のエーザイとの契約終了後、迅速に移行できる体制を整備する。

なお、同社は2017年10月にメディシンズとライセンス契約の不履行※に関する損害賠償について米国の国際商業会議所に仲裁の申し立てを行っていたが、2019年12月に最終文書の提出が終了し、その結果が通常であれば3~6ヶ月以内に発表されることになる。賠償請求額は82百万米ドルとなり、ICCから発表される仲裁判断が事実上の最終確定となるが、この影響については業績計画には織り込んでいない。なお、メディシンズについては、2020年1月にノバルティスAG(スイス)が子会社化したことを発表しており、賠償金の支払いが不能となるリスクはないと考えられる。

※2015年10月に短期術後急性疼痛管理用医薬品のライセンス契約を締結したが、同製品の事業の継続性に同社が懸念を抱く事業が生じたため、患者の利益を最優先する観点から2017年4月より臨床試験の新規症例登録を一時的に中断した。その後、2017年10月にメディシンズによるライセンス契約不履行に起因して生じた損害の賠償として82百万米ドルの支払いを求める仲裁をICCに申し立て、メディシンズが欧米市場で同製品の事業活動の中止・撤退を決定したことに伴い、ライセンス契約に基づく義務の履行について十分な保証を同社に対して提供できなかったことはライセンス契約の重大な違反である旨を仲裁で主張し、ライセンス契約については解除している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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