NYコラム(21日):ダウ平均は900ドル超安−トランプ政権誕生当日の終値を割り込む

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最新投稿日時:2020/03/21 08:39 - 「NYコラム(21日):ダウ平均は900ドル超安−トランプ政権誕生当日の終値を割り込む」(加藤裕一)

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NYコラム(21日):ダウ平均は900ドル超安−トランプ政権誕生当日の終値を割り込む

著者:加藤裕一
投稿:2020/03/21 08:39

NY株式市場:NY州が全域に在宅勤務を要請−朝方のリバウンド期待に水を差す

20日のアメリカ株式市場でダウ平均は、朝方こそ400ドルを超える上昇となり前日からのリバウンド基調が続いた。

FRBがECBなど5つの中央銀行を対象にドルの資金供給を拡大。MMFの流動性支援で地方債も対象とすると発表したことが買い手掛かりとなり、嵐が過ぎ去ったかのような比較的落ち着いたムードが広がっていた。

ただ、午後に入ると相場の地合いが一変する。ニューヨーク州のクオモ知事が州内に勤める全ての従業員に在宅勤務を要請。カリフォルニア州では全土に原則外出禁止令が発動されていたこともあって堅調な地合いが崩れはじめ、相場に水を差す格好となった。

イギリスでもロンドンが事実上の封鎖状態となったことから世界的な経済活動の停止で景気後退に対する警戒感が再び台頭した。終盤にはWTIが一時18年ぶりに19ドル台まで急落。トランプ大統領が会見するも手掛かりを得られず、ダウ平均は追い打ちを掛けられるように急速に下げ足を早め、引け味の悪さだけが残る週末金曜日の取引となった。

アメリカ市場では、この日、メジャーSQにあたる3カ月に一度のクアドルプル・ウィッチングで先物やオプションなど4つの精算日が重なったことも下げ幅を増幅させる要因のひとつなったとみられている。

20日のダウ平均の終値は、913ドル21セント安の1万9173ドル98セントと2016年12月以来の安値となった。この結果、現在のトランプ政権が発足した2017年1月20日のダウ平均の終値(1万9827ドル)を割り込み、トランプ大統領就任以降の上昇分をすべて吐き出した。ダウ平均は2月12日に付けた過去最高値(終値:2万9511ドル)からの下落率が33%に達する。週間ベースの下落率は17%。大きな節目を超える歴史的な一週間となった。

▶︎来週のアメリカ市場は腰の入ったbit復活の灯りを消さない−超大型景気対策に期待

FRBは緊急FOMCでゼロ金利政策の導入と量的緩和策の復活を決めたあと、巨額な資金供給とCP買い取り制度の再導入まで矢継ぎ早に政策を打ち出してきた。

トランプ大統領は13日に非常事態を宣言して以降、イギリスを含む欧州との渡航制限やカナダやメキシコとの国境封鎖。さらにはすべての国への渡航中止を勧告した。同時に航空業界支援などを盛り込んだ1兆ドル規模の大型景気対策案の議会採決を控える。

アメリカでは、主要都市での新型コロナショックの感染者数の拡大に歯止めが掛からず、ヒト、モノの移動制限で個人消費や需要が崖から落ちるように消えていき、企業は当面の資金繰りを賄うために現金の確保に奔走する。アメリカは、今この瞬間に景気後退入りの扉を全開に開き始めてもおかしくないのではなかろうか。

トランプ大統領やそのタスク・フォース、FRBがコロナショックで受けるであろうダメージを最小限に抑えるため国全体のセーフティーネットを超速で構築している。

来週のアメリカ株式市場では景気後退につながる火種が、トランプ政権が構築しつつあるセーフティーネットのフレームワークから逸脱していかないか、株式市場にとっても腰の入ったbit復活の灯りが消えかけないか。極めて重要な正念場が続くことになる。
加藤裕一
米国株ストラテジスト
配信元: 達人の予想

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