NY株式市場:NY州が全域に在宅勤務を要請−朝方のリバウンド期待に水を差す
FRBがECBなど5つの中央銀行を対象にドルの資金供給を拡大。MMFの流動性支援で地方債も対象とすると発表したことが買い手掛かりとなり、嵐が過ぎ去ったかのような比較的落ち着いたムードが広がっていた。
ただ、午後に入ると相場の地合いが一変する。ニューヨーク州のクオモ知事が州内に勤める全ての従業員に在宅勤務を要請。カリフォルニア州では全土に原則外出禁止令が発動されていたこともあって堅調な地合いが崩れはじめ、相場に水を差す格好となった。
イギリスでもロンドンが事実上の封鎖状態となったことから世界的な経済活動の停止で景気後退に対する警戒感が再び台頭した。終盤にはWTIが一時18年ぶりに19ドル台まで急落。トランプ大統領が会見するも手掛かりを得られず、ダウ平均は追い打ちを掛けられるように急速に下げ足を早め、引け味の悪さだけが残る週末金曜日の取引となった。
アメリカ市場では、この日、メジャーSQにあたる3カ月に一度のクアドルプル・ウィッチングで先物やオプションなど4つの精算日が重なったことも下げ幅を増幅させる要因のひとつなったとみられている。
20日のダウ平均の終値は、913ドル21セント安の1万9173ドル98セントと2016年12月以来の安値となった。この結果、現在のトランプ政権が発足した2017年1月20日のダウ平均の終値(1万9827ドル)を割り込み、トランプ大統領就任以降の上昇分をすべて吐き出した。ダウ平均は2月12日に付けた過去最高値(終値:2万9511ドル)からの下落率が33%に達する。週間ベースの下落率は17%。大きな節目を超える歴史的な一週間となった。