NY株式市場(16日)FRBは緊急会合でゼロ金利政策とQEを復活−ダウ平均先物はストップ安続く
同じくリーマン・ショック以来の復活となる量的緩和政策では、今後数カ月で米国債を少なくとも5000億ドル規模を買い入れる。住宅ローン担保証券=MBSも同じく2000億ドル購入するという。
FRBのパウエル議長は、新型コロナウイルスの感染拡大によるアメリカの景気後退リスクに立ち向かうため、過去最大級のカードを切り断固とした措置で対処する姿勢を示した格好だ。
ただ、FRBがリーマン・ショックレベルの政策発動へと一気に舵を切ったため、リーマン並みの緊急時対応が与える政策効果をマーケットと共有できていないのが現実のようだ。今回の新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が、リーマンショック時に起きた「システミック・リスク」のような最悪の事態を顕在化させてしまうところまで行き着くのではないかとの疑念を払拭するには程遠い状況だ。
株式相場のファースト・リアクションは売りで反応することになるだろう。ダウ平均先物は16日の時間外取引で早々にストップ安となり、売り需要を消化できないまま通常取引に入っていくことになる。
16日のアメリカ株式市場でダウ平均は再び節目の2万ドル方向に売り直される展開となる。
ダウ平均は14日に過去最大の上げ幅を記録して節目の2万ドルまで3000ドル強の値幅が残されている。
16日のアメリカ株式市場では売り一巡後にショートカバーが入る余地を見出すことができるかどうかが焦点であろう。相場の流れを変えるきっかけを掴むなら、日本時間の16日午後11時からのG7による緊急のテレビ会議だろう。
このほか、アメリカ国内では米議会下院が14日に数十億ドル規模の新たな新型コロナウイルス対策法案が可決した。上院でも速やかに可決される見通しだ。トランプ大統領が提案した給与税の減税法案に関する協議も近く始まると伝わっている。
新型コロナウイルスに対応するため金融政策と財政政策をミックスさせたオール・アメリカ的な総合的、かつ複合的な政策を発動する環境整備には、もう少し時間が掛かると見ている。
引き続き、アメリカ株式市場では極端な値動きが頻発して相場の気迷いが激しくフリーフォール状態が続いている。空中戦には参加せず、資金管理からポジション管理まで退出しないよう慎重さを極めたい。