NY株式市場(9日)ダウ平均は弱気相場入り回避か?−新型肺炎の拡大懸念にWTIの急落が重なる
「OPECプラス」の減産協調が決裂したことからサウジアラビアが大幅な増産計画を打ち出したことをきっかけに原油相場が週明けに急落した。WTIは4年ぶりに一時20ドル台まで急落している。
アメリカ株式市場では、新型肺炎の感染拡大で実態経済に対する悪影響に警戒感が強まっていたところに、原油急落が追い打ちを掛ける格好で相場の混乱に拍車が掛かっている。原油急落は財務体質の弱いエネルギー企業のクレジット・リスクに波及するとの思惑が売りにつながりやすい。同時にいわゆる世界的な「オイル・マネー」に変調をきたすとの見方も台頭している。
ダウ平均は、寄り付きで2月28日に付けた日中安値(2万4681ドル)を割り込み2万4000ドル割れとなっている。S&P500は下落率が7%に達し15分間のサーキット・ブレーカーが発動される事態となった。
アメリカ国内での新型肺炎の感染者数は500人を超えたという。週末には、感染者数の急増でニューヨーク州が非常事態を宣言したばかりだ。アメリカ国内でも企業活動の制限や新型肺炎に対する危機意識の高まりが消費低迷に繋がるとの危機感が広がっている。
ダウ平均は寄り付きで2万3800ドル台まで下げ幅を広げたあとは、ひとまず下げ幅を小幅に縮小している。
FRBは取引開始前に相場急落を受けて短期金融市場で流動性を供給する方針を示しているほか、リバウンド狙いの買いも交錯している。寄り付き段階では、過去最高値から20%超の調整となり弱気相場入りが濃厚となる水準=2万3600ドル割れは回避している状況だ。