週始め年初来高値更新するものの、不透明な米中通商協議で23044円まで下げて反発
先週も引き続き、米中通商協議の「第1段階」の合意がいつ成立するのかどうかを巡って、相場が上下動することになるとしました。中国側は「香港人権民主主義法案」の成立で反発しており、この反発の程度が相場を左右することになります。反発がそれほどでもなく早期合意への期待が高まれば23500円を超えて年初来高値も想定されますが、一方でそれなりの反発があれば下落となりますが、現在の需給関係からみて下値は限定的としました。
結果的には、通商問題の合意への期待が好悪にぶれ、米経済指標も好悪入り交じったことで、日経平均は高値23562円、安値23044円の間での上下動となり、週の終値は△54円の23354円で引けました。
12月2日(月)は、前週末の米国株が米中協議の先行き不透明さから3指標そろって下落したもののシカゴの日経先物は△40円の23330円としっかりしており円安基調の中、中国の11月製造業PMIが改善し、米株先物も高かったことで△94円の23388円で寄り付き、前場は一時△259円の23553円まで上昇しました。さらに後場すぐに△268円の23562円まで上昇し、その後も高値圏でもみあいながら終値は△235円の23529円となり、11月12日の終値での年初来高値23520円を3週間ぶりに更新しました。
しかし引け後の米国市場では、弱いISM製造業やトランプ大統領がブラジルとアルゼンチンからの輸入品であるアルミニウムと鉄鋼に関税を課すと発言したことを嫌気し、NYダウは▼268ドルの27783ドルと大幅下落となりました。これを受けて3日(火)の日経平均は、▼298円の23231円で寄り付き、一時▼342円の23186円まで下落しましたが、後場には日銀のETF買い期待もあって下げ渋り▼149円の23379円と反落して引けました。
さらにこの日の引け後の米国市場は再び大幅下落となりました。それはトランプ大統領が「米中協議の合意に期限はなく2020年の大統領選挙まで延期できるとの考えを示唆」したことで、売り先行となり、NYダウは▼280ドルの27502ドルと連続の大幅安となりました。
これを受けて4日(水)の日経平均は為替は108円台半ばの円高へ進行したこともあり、▼193円の23286円で寄り付き、一時▼335円の23044円まで下げました。しかし日経平均の中身をみてみると大きな下げをしたものの、ファーストリテイリング1銘柄のみで日経平均を120円以上押し下げており、全体的にはしっかりした動きといえました。終値では▼244円の23135円の大幅続落でした。
5日(木)の日経平均は、前日の米国市場で「12月15日より前に第1段階の合意が見込まれている」との報道を受け、又、原油高もあって3指標そろって好調な動きとなっていたことで、3日ぶりの買いスタートで△157円の23292円で寄り付きました。米中の歩み寄りの期待が再浮上したことで、一時△228円の23363円まで上昇しましたが、週末に11月雇用統計の発表を控え△164円の23300円と3日ぶりの反発となりました。
6日(金)の日経平均は、前日の米国株式は11月雇用統計の発表を控え、ほぼ変わらずの動きだったことで、△47円の23347円で寄り付き、一時△112円の23412円まで上昇したあとは、前場の終値である23361円近辺でこう着状態となり、終値は△54円の23354円と続伸して引けました。
日本市場の引け後の米国市場では、注目の11月雇用統計が予想を大きく上回る結果をなり、失業率も2ヶ月ぶりに約50年ぶりとなる3.5%へ低下したことで株式市場は大きく上昇し、NYダウは△337ドルの28015ドルと再び28000ドル台を回復しました。一方で米中通商交渉はクドロー米国家経済会議委員長が「協議は進展しているといいつつも第1段階の文書に署名する準備はできていない」と述べています。シカゴの日経先物は△110円の23530円でした。
今週は、米中協議の合意への流れが明確になるのかどうか注目
今週は基本的には、米中通商交渉の不透明感がとれて合意期待が高まるかどうかが注目となります。但し、15日(日)の追加関税の結果がでるまでは何ともいえず本格的に動くのは来週になりそうです。12月15日(日)は米政権が予定する中国製品1600億ドル(約17兆4000億円)分への制裁関税の発動をするのかどうかの結果をみる必要があります。制裁関税の発動を見送れば投資家心理が改善し、合意への期待で当面の上値となっている23500円台を超えて11月26日の年初来高値23608円を更新することになりそうです。
今週は国外の要因としては、10~11日のFOMCの議事録公開、12日の英国選挙、13日のECB理事会があります。国内では13日に12月の日銀短観、メジャーSQがあります。
本日は、先週末の雇用統計が予想を大きく上回ったことを受け、米国株は大幅上昇したことで、日経平均は△190円の23544円と高寄りしたものの、そこでまとまった売りものが出て△5円の23360円まで上げ幅を縮小しました。そこからいったん切り返すものの、上値重く、後場は23400円台前半のもみあいとなって△76円の23430円で引けました。15日(日)の対中国への追加関税がどうなるのか結論がでるまでは動きにくいといえます。
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(指標)日経平均
先週の予測では、引き続き米中通商協議の妥協の行方が不透明なままであればもみあいとなるとしました。
週始めは、先週末のNYダウは下落していたもののシカゴの日経先物はしっかりとしており、さらに中国の11月の製造業PMIの改善を好感して、3日ぶりの大幅反発で23529円となり年初来高値を更新しました。しかし、その後は米国市場で経済指標の悪化、トランプ大統領の鉄鋼、アルミニウムなどへの追加関税を嫌気し、2日連続の大幅安となったことを受け、日経平均も2日連続の大幅な下げ(一時23044円)となりました。その後は、米株式の反発に歩調を合わせて上昇し、週末は△54円の23354円で引けました。
今週は、15日(日)を基点に米中通商協議の影響を受け大きく変動する可能性があります。両国の歩み寄りで合意期待が高まれば、11月26日の年初来高値を上回っていく動きとなりますが、12月15日(日)の米政権が予定している中国製品1600億ドル(約17兆4000億円)分への制裁関税発動となれば、米中関係悪化で売られてくることになります。逆に見送られると合意の期待とともに上にぬける展開となりそうです。
(指標)NYダウ
先週の予測では、米中通商協議の早期の合意が具体化するかどうかが注目となりますが、これが不透明のままでは相場は様子見姿勢が続くことになるとしました、但し、月初めで経済指標の発表も多く発表される内容によっては相場に影響を与えるとしました。
結局、週始めはISM製造業が悪化し、トランプ大統領の鉄鋼、アルミニウムへの追加関税発表があり、その後の通商協議も不透明なままだったのでNYダウは前週末に引き続き12月2日(月)は▼268ドル、3日(火)は▼280ドル(一時27325ドル)の27502ドルまで下げました。その後は通商協議への懸念が後退して反発に転じ、週末の6日(金)は11月雇用統計の大幅な予想を上回る結果を受け、△337ドルの28015ドルで引けました。
今週は、米中通商協議の部分合意期待が高まれば相場は上へ、逆に15日の追加関税第4弾が具体化すれば株価は下へということになりそうです。それ以外の要因では、先週末の11月雇用統計は予想を大きく上回ったことで米経済の減速懸念は和らぎ当面、利下げは遠のいて中立要因となります。
(指標)ドル/円
今週の予測では、ドルは底堅い動きを想定し、米中通商協議の合意の先行きが不透明なため、中国の反応次第ということもありますが、経済指標がよければドル買い有利となります。レンジは108.5~110円としました。
週前半は、トランプ大統領の「合意に期限はない」との発言で109円台から108円台半ばへのドル安となるも、その後の買い戻しで109円へ戻りました。しかし、通商協議の不透明さや15日の追加関税となるのかということで108.56円で引けました。
今週は上げ渋りの動きへ。先週の11月の雇用統計が予想を大きく上回ったことで、米経済の底入れ感は高まり、利下げの打ち止め観測となっています。政策金利が長期に据え置かれるならば、ドル買いの見方ができます。一方で通商協議の合意が決定するまでは不透明さが残り、ドル売り要因となります。108~109.5円のレンジを想定。
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