5G時代に向けて~誰がリードするか

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最新投稿日時:2019/09/11 13:33 - 「5G時代に向けて~誰がリードするか」(みんかぶ株式コラム)

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5G時代に向けて~誰がリードするか

著者:鈴木 行生
投稿:2019/09/11 13:33

7月に、総務省の谷脇局長(総合通信基盤局)の話を聴く機会があった。5G時代がスタートする。ビジネスや生活はますます便利になるが、いくつかの課題がある。みんなが平等に使えるのか。誰かが有利に競争を制約しないか。日本が世界から遅れをとることはないか。

・データ主導社会に向けて、電気通信分野の競争ルールについて検証して行く必要がある。詳しい人には今さらかもしれないが、参考になった点をいくつか取り上げてみたい。

・通信ビジネスは4つのレイヤー(層)でみることができる。①ネットワーク(キャリア、インターネット)、②端末(モバイル)、③プラットフォーム、④コンテンツ・アプリである。

・ネットワークビジネスでは、公平性や中立性が問われる。端末では、消費者が不利にならないように保護すべきである。プラットフォームでは、情報の不適切な利用がされないように護る必要がある。

・モバイルと固定電話をみると、2000年にその加入件数が逆転し、固定はピークの6000万件が今や2000万件へ減少し、逆にモバイルの加入者は1.7億件へ大幅に増えている。

・二人以上の勤労世代の家計消費支出をみると、その構成比は、食料費25%、交通費11%、教養娯楽費9%、教育費6%、通信費6%、住居費6%となっている。モバイルの活用とともに、通信費は年々増え、その比率もかなり上がっている。

・モバイルの通信費が高すぎるのではないか、という問題が注目されてきた。スマホ利用の内外価格差は顕著で、海外の主要都市と比べ、東京はそもそも水準が高く、下がるテンポも鈍い。

・そこで、モバイルサービスの適正化、料金プランのシンプル化、販売代理店の業務の適正化などが図られた。①通信料金と端末代金の完全分離、②囲い込み(4年縛り)の禁止などが実施された。

・端末の値引きに上限(2万円)を設け、端末スイッチングの違約金にも上限(1000円)を設定した。また、SIMロックの解除もやり易くした。

・モバイルは第5世代に入ろうとしている。1)アナログ(音声)、2)デジタル(メール)、3)デジタル(カメラ、動画)、4)LTE(高精細動画)、5)そして5Gへと、10年毎に進化している。

・5Gの特徴は、①速い(超高速、100倍)、②遅れない(超低遅延、タイムラグなしのリアルタイム)、③まとめて繋がる(多数同時接続)にある。

・具体的には、1)2時間の映画をダウンロードするのに、LTEでは5分かかっているが。これが3秒でできるようになる。2)ロボットによる精微な操作(精密加工や遠隔手術)がLTEの10倍の精度でできるようになる。3)自宅でのネットへの接続が、LTEではスマホ、PCなど数個であったが、これが100個の端末やセンサーに接続できるようになる。

・正確に言うと、4Gから5Gへでは、1)通信速度は100Mbpsから、100倍の10Gbpsへ、2)遅延は30~50ミリ秒から、30~50分の1の1ミリ秒へ、3)接続数は1万台/km2から、100倍の100万台/km2となる。

・用途によって、①速さを取るか、②遅延なしをとるのか、③多数同時接続をとるのか、を選ぶことができる。3D映像配信時、自動運転や医療の時、スマートホームやスマートシティの時では、ニーズが違ってこよう。

・一方、5Gには制約があるので、新たな対応が必要になる。通信の電波は周波数が高くなるにつれて、伝送できる情報量が増え、高速伝送が可能となる。しかし、直進性が高まるので、遮蔽物を避けるのが難しくなる。

・つまり、長距離に向かない。それを克服するには、1)基地局をたくさん置く必要があり、2)基地局まで光ファイバーを敷く必要がある。

・日本は4Gまでに光ファイバーを先行させた。あとは基地局をどんどん置けばよい。5Gの周波数割り当ては4月に終わっているので、今年9~11月のラグビーW杯で5Gのデモを行い、来年7~9月のオリンピック・パラリンピックで商用サービスを本格化させるという計画である。

・どのように基地局を置いていくのか。総務省は、従来のような人口カバー率という考えをとらない。これだと、人口の多いところが有利で、地方が不利になるからである。

・そうではなく、全国を10㎞四方のメッシュに切って、各メッシュ内で50%以上カバーするようにする。そうすると、ローカルな地域でも5Gが早く使えるようになる。5Gは、ローカルなスマートシティやスマート農業にも入っていけることになろう。

・5Gで日本は世界に遅れをとらない。今の計画でいけば、先行できることになろう。当然、サービスの中身を競いながら、ビジネスをリードする企業がいろいろ出てこよう。

・臨場感のある映像コンテンツ、専門医による遠隔診療、ロボットによる遠隔操縦、eスタジアム、河川の監視システム、自動農場管理など、新しいネットワーク社会が拓けてこよう。

・基地局もシェアリングした方がよい。全国にある交通信号機(21万機)の活用も有効である。この信号機の活用戦略も動きつつある。

・キャリアがプラットフォーマーになれるか。楽天は新たなプラットフォーマーになれるか。コンテンツ・アプリのレイヤーからは続々とエマージング企業が出てこよう。5Gインダストリーの新たな展開に注目したい。

日本ベル投資研究所の過去レポートはこちらから

配信元: みんかぶ株式コラム

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