オンコリス Research Memo(7):OBP-801は眼科領域で前臨床試験後の早期ライセンスアウトを目指す

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最新投稿日時:2019/03/25 15:07 - 「オンコリス Research Memo(7):OBP-801は眼科領域で前臨床試験後の早期ライセンスアウトを目指す」(フィスコ)

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オンコリス Research Memo(7):OBP-801は眼科領域で前臨床試験後の早期ライセンスアウトを目指す

配信元:フィスコ
投稿:2019/03/25 15:07
オンコリスバイオファーマ<4588>の開発パイプラインの動向

3. その他パイプライン
(1) OBP-801
OBP-801は分子標的抗がん剤で、幅広いがん種に対する治療効果が期待されている。2015年5月より米国で進行性の固形がん患者を対象に実施していた第1相臨床試験については、用量制限毒性がCohort3の6例中2例で発生したため、現在は新規患者の組み入れを中断しプロトコルの変更を検討している。

一方、眼科領域において前臨床試験の準備を進めている。2016年8月に共同研究契約を締結した京都府立医科大学で実施した眼科領域の動物モデルを使った研究において、緑内障手術後に形成される濾過胞を維持するための薬剤としてOBP-801を投与したところ、同目的で使用されているマイトマイシン(抗がん剤)と比較して高い効果が得られたとしている。濾過胞は眼内に溜まった水を逃がす役割を果たすが、緑内障になるとその機能が維持できないケースが多く、症状の進行につながっていた。また、加齢黄斑変性症の動物実験でも、症状の進行に影響する新生血管(脈絡膜血管新生)及び網膜の線維化に対する抑制効果が確認されている。加齢黄斑変性症治療薬としては、現在、ルセンティスやアイリーアなど血管新生を抑制する抗VEGF阻害薬があるが、いずれも網膜の線維化抑制作用はなく、OBP-801の長所となる。同社ではこれら研究成果に関して、2018年7月に京都府立医科大学と共同で特許出願を行っている。

今後は、眼科領域における早期ライセンスアウトを目指して行く方針となっている。同社は眼科領域での製剤開発ノウハウを持たないためで、2019年に前臨床試験を実施し、データの再現性を確認したうえで眼科領域専門の製薬企業にライセンスアウトする。既に同領域の大手製薬企業とは全てコンタクトを取っており、必要となるデータも確認している。このため、有効なデータが前臨床試験で得られればライセンスアウトできる可能性は高いと見られる。特に、加齢黄斑変性症については患者数が世界で1億人を超えており、治療薬の市場規模も5千億円規模と大きいだけに今後の動向が注目される。なお、開発早期段階でのライセンスアウトになるため、契約一時金に関しては小規模になると思われる。

(2) OBP-601(センサブジン)
HIV治療薬候補のOBP-601に関しては第2b相臨床試験まで終了しており、現在はライセンス契約先を探索している段階にある。ただ、HIV治療薬は既に30種類以上の薬剤が販売承認されており、飽和状態となっており、新規ライセンスの可能性も低下している。このため、2019年前半までに交渉先が見つからない場合は、開発権を特許権者である米Yale大学に返上する意向を示している。特許権使用料として年間10百万円程度の費用が掛かっていたが、同費用を有力パイプラインの開発資金に充当していく考えだ。

(3) OBP-AI-004
2015年7月に鹿児島大学と共同研究契約を締結し、B型肝炎ウイルス(HBV)の治療薬創製に関する共同研究を進めている。現在は、試験管レベルで効果が確認された候補化合物を絞り込んでいる段階で、目途が立ち次第、ネズミによる前臨床試験(1クール10週間)を開始する予定となっている。

B型肝炎については、治療薬を投与してもウイルスの遺伝子が残るため完治することはなく、再活性化した場合の治療薬はまだない。このため、再活性化後は時間とともに肝硬変や肝臓がんに症状が進行することになる。同社では、再活性化の原因が治療薬投与後でもHBs抗原※の量がほとんど変らないことにあると考えている。OBP-AI-004はこのHBs抗原の量を半分程度に低減する効果が試験管レベルで確認されており、HBs抗原の量が低減すれば再活性化リスクの大幅な低減につながるものと見ている。

※HBVの外殻を構成するタンパク質。


B型肝炎の患者数は世界で3.5億人、うち70%がアジア太平洋地域に分布しており、国内の患者数は150万人と言われている。B型肝炎治療薬の市場規模は2021年に世界で4,200億円程度まで成長すると見られているだけに、開発が進めば市場の注目度も高まるものと期待される。


主要パイプラインの物質特許を各国で取得済み
4. 特許取得状況
主要パイプラインであるテロメライシンの特許権は同社と関西TLO(株)が共同保有しており、海外では同社が単独で保有権を持ち、現在は日米欧を含む24ヶ国で特許を取得している。また、テロメスキャンは同社が特許権を保有しており日欧含む10ヶ国で、テロメスキャンF35については日米欧中韓を含む9ヶ国以上で特許を取得するなど、知財戦略についても重要な経営戦略の1つとして位置付けている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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