トレードワークス Research Memo(4):2019年12月期は成長基盤構築のための先行投資期間と位置付ける

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最新投稿日時:2019/03/08 15:04 - 「トレードワークス Research Memo(4):2019年12月期は成長基盤構築のための先行投資期間と位置付ける」(フィスコ)

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トレードワークス Research Memo(4):2019年12月期は成長基盤構築のための先行投資期間と位置付ける

配信元:フィスコ
投稿:2019/03/08 15:04
■今後の見通し

1. 2019年12月期の業績見通し
トレードワークス<3997>の2019年12月期は売上高で前期比4.8%増の2,109百万円、営業利益で同40.9%減の301百万円、経常利益で同40.7%減の302百万円、当期純利益で同43.2%減の206百万円と増収減益を見込んでいる。

売上高については金融ソリューション事業で前期に計上したような大型案件がなくなるものの、クラウドサービスなどのストック型収入の積み上げが進むほか、既存顧客向けの深耕と新規顧客開拓を進めることで5%程度の増収が可能と見られる。ストック型収入の売上比率は50%弱程度まで上昇する見通しだ。また、FXシステム事業についても、既存顧客の深耕と新規顧客の開拓により増収を見込んでいる。セキュリティ診断事業も「SecuAlive」のリニューアル版が2018年末に完成し、今期は拡販を進めることで増収に転じる見通しだ。

一方、利益が減益となるのは将来の成長基盤を構築するための戦略的投資を実行するため。具体的には、手狭になった本社を移転・増床(2019年4月予定)することによって、積極的に人材の採用を進めていく計画となっている。本社移転関連費用としては、一時費用も含めて40〜50百万円を計画に織り込んでいる。従業員数については2018年12月末に79名(前期末比8名増)とここ数年は年間数名程度の増加ペースだったが、2019年は本社を移転することによって収容人員が150〜170名程度まで可能となり、積極的な採用を進めていく。エンジニアは20名程度、営業・管理スタッフで3名程度の採用を計画しているため、人件費や採用費等も増収率以上に増加することになる。また、クラウドサービスの拡大に伴ってデータセンターの強化も計画しており、設備投資等に伴う諸費用も増加する。ただ、これらは2020年12月期以降の成長に向けた先行投資と位置付けられ、これらの投資効果が顕在化する2020年12月期以降は増益に転じるものと弊社では見ている。

2019年末に新規顧客向けシステム案件のリリースを予定しているが、同案件は前期に納品した大型システム案件と違って、初期導入売上を低めに抑えて月額収入(データ利用料等)を厚めに計上するストック型案件に近いため短期的な収益へのインパクトは小さいが、それでも年間2〜3億円の増収要因となる見込みで、2020年12月期以降の増益に寄与するものと予想される。なお、同社はまだ事業規模が小さいこともあって、大型案件の納品時期によって四半期業績が大きく変動する傾向にある。2018年12月期は前述した大型システム開発案件を納品した第1四半期の業績が大きく伸びたが、2019年12月期は第1四半期に同様の規模の案件の予定がないため、前年同期との比較では大幅減収減益となってしまう点には留意しておく必要がある。


エンジニアの採用・育成強化と事業領域の拡大により高成長を目指していく戦略
2. 今後の成長戦略
金融業界におけるIT投資動向は、AIやIoT、FinTech、RegTech(レグテック)※といった新たな技術・サービス領域に向けた開発投資だけでなく、働き方改革や人手不足の解消といった生産性向上に向けた投資なども含めて、今後も着実に拡大していくものと予想される。

※RegTech(レグテック)…「Regulation(レギュレーション):規制」と「Technology(テクノロジー):技術」を組み合わせた造語。ITを駆使し、煩雑な規制対応を効率化する取組みを指す。規制が複雑で、当局への報告義務が多岐にわたる金融業界で有効とされ、FinTechと並んで言及されることが多い。


こうした市場環境下で同社は、エンジニアの増員・育成により製品・サービスの品質向上を図りながら、売上拡大と収益性の向上を進めていく成長戦略を推進してきたが、今後は証券やFXだけでなく年金・保険や暗号通貨など事業領域をさらに広げ、また、他ベンダーとの連携も図りながら更なる成長を目指す戦略となっている。

(1) 人材採用・育成
同社では金融業界で求められるシステムエンジニアのスキルとして、プログラミング能力だけでなく、金融商品や法規制など関連知識も身に付ける必要があると考えており、それが品質の高い製品・サービスの開発につながると考えている。エンジニアがこうした金融の知識を身に付け、戦力化するまでには最低2年程度かかるため、継続的な収益成長を目指すには、計画的な人材採用及び育成が重要となる。

人材採用については、前述したように本社移転により収容可能人員が拡大し積極的な採用を進めていくことが可能となった。また、外国人エンジニアの採用も進めるため、2018年よりカンボジアのキリロム工科大学が進めている「vKiriromプロジェクト」※の奨学金スポンサーとなり、優秀な卒業生を採用していく計画となっている。既に2019年春に2名が入社し、2020年についても2名の採用を予定するなど、今後は外国人エンジニアも増加する見通しだ。

※カンボジア政府機関から許可を受け、IT都市建設を目指すためのIT人材を全寮制で育成するプロジェクト。学生は学費及び寮費が無料となる。


人材育成について見ると、新人研修では3ヶ月間の研修期間中に、プログラムの技術研修だけでなく証券取引などの業務研修も重点的に行っており、金融系専門プログラマーとしての育成カリキュラムを確立している。また、外部セミナーにも積極的に参加し、最新の技術トレンドやテクニカル手法などを習得、社内勉強会などを通じて新製品の開発に生かしている。現在、社内のエンジニア数は約90名(契約社員や派遣社員を含む)の規模となっているが、今後は積極的な採用を進め人員規模を拡大していきたい考えだ。

(2) 事業領域の拡大
金融業界に特化した独立系のシステム開発会社として堅実な成長を続けてきた同社だが、今後は高い技術力と金融知識を併せ持つ専門集団として、証券分野以外の領域にも事業領域を拡大し、更なる成長を目指していく方針となっている。2018年12月期においては年金分野で「iDeCo」のシステム提供を開始しており、今後は同システムの機能拡充や顧客の拡大を進めていく。

また、暗号通貨については直近でブームが沈静化しているものの、金融当局による法規制が整備されれば、取引事業者のシステム投資も本格的に動き始めると見ており、現在はその状況を睨みながら準備を進めている段階にある。取引システムそのものはFXやCFD(差金決済取引)とほとんど変わらないため、スムーズに開発が進むものと予想される。特に暗号通貨に関しては、インターネット取引システムだけでなく不公正取引監視システムの需要も見込まれ、今後の受注獲得が期待される。

(3) ストック型ビジネスモデルへのシフト
同社は収益の安定性を向上させるため、クラウドサービスなどのストック型ビジネスの売上拡大に注力していく方針を示している。金融ソリューション事業におけるストック型収入の売上構成比は2018年12月期の40%台前半から2019年12月期は50%弱に上昇し、中期的には60%台半ばの水準まで引き上げていきたい考えだ。60%台まで上昇すれば、業績も安定性と同時に収益性が向上していくものと予想される。

(4) 新技術の開発
同社はブロックチェーン技術や音声認識システム、AI技術など最先端の技術を用いたサービスの研究・開発にも注力している。2018年10月には主要顧客であるカブドットコム証券<8703>と共同で、VR環境を用いた株式取引システムのプロトタイプを開発、「CEATEC JAPAN 2018」に出展し大きな注目を集めた。同システムは、専用バイザーを装着することで360度全方位に投資情報(マーケット情報や個別銘柄情報など)を映し出すことが可能で、画面の切り替えやマルチモニターを用いる必要なく、同時に大量の情報が収集可能となる。また、株式取引画面を表示しておくことで、収集した情報をもとに即時に株式注文を行うことができる。VRシステムの具体的な商品化時期については未定だが、将来的には技術進化とともに取引システムの機能も高度化していくことが予想され、同社にとってビジネスチャンスになると考えられる。

なおカブドットコム証券については、2019年2月にKDDI<9433>が資本参加することを発表した。KDDIグループで金融事業を強化する戦略の一環だ。カブドットコム証券は同社の第2位株主(出資比率9.7%)でもあるが、今後も主要顧客の1社として取引関係は変わらないようだ。KDDIから資本参加を受けたことでカブドットコム証券のIT投資が今後拡大していけば、同社の業績面においてプラスとなる可能性がある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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配信元: フィスコ

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