日本トリム Research Memo(5):電解水透析事業および民間さい帯血バンク事業が成長路線に

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最新投稿日時:2018/12/10 15:05 - 「日本トリム Research Memo(5):電解水透析事業および民間さい帯血バンク事業が成長路線に」(フィスコ)

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日本トリム Research Memo(5):電解水透析事業および民間さい帯血バンク事業が成長路線に

配信元:フィスコ
投稿:2018/12/10 15:05
■事業概要

2. 医療関連事業
日本トリム<6788>の2019年3月期第2四半期の医療関連事業の売上高は、前年同期比31.3%増の558百万円であった。総売上高に対する比率は7.1%とまだ小さい。売上高の内訳は、再生医療関連事業が544百万円、同28.0%増、電解水透析及びMGO測定が14百万円、同226倍であった。同事業のセグメント利益は、44百万円となった。

(1) 先進医療分野
先進医療分野では、戦略的持株会社である連結子会社のトリムメディカル ホールディングスの下に、民間さい帯血バンクで国内シェアトップのステムセル研究所を擁する。2017年に入って、ヒト組織由来細胞の医薬品開発を行う新会社を立ち上げ、また再生医療などに関連する医薬研究用機器及び医療関連機器の企画・開発・製造・販売を行うストレックスと資本・業務提携している。

a) 再生医療関連事業
1) ステムセル研究所
民間さい帯血バンクを運営するステムセル研究所は、2019年3月期第2四半期末の保管者数が前期末比1,823人増の45,030人になった。民間企業における年間新規保管数国内シェアは、約99%に達している。日本における年間出生数に対するさい帯血の保管率は0.3%と、米国の3.0%、韓国の15.0%と比べて極めて低い。同子会社は、さい帯血保管に関する啓蒙活動を行っている。

再生医療安全確保法に基づき、高知大学医学部は小児脳性麻痺に対する自己さい帯血を用いた第1相試験(PhaseI)を進めている。新たに、自閉症スペクトラム障害(ASD)に関する自己さい帯血を用いた臨床研究(PhaseI)が計画されている。自己さい帯血を用いた再生医療(細胞治療)は、脳性麻痺など、これまで治療法がなかった病態に対するまったく新しいアプローチとして注目されている。

東京大学医科学研究所附属病院と同子会社は、大量のさい帯を冷凍保存する技術を共同研究する。さい帯もさい帯血と同様に間葉系細胞が摂取でき、再生医療での活用が期待されている。さい帯血を十分に集められない場合の対応策となる。同子会社は、大阪府と大阪市が整備している「中之島未来医療国際拠点」の運営母体設立準備組織にも参画している。

2) ヒューマンライフコード
同社グループは、2017年4月に胎盤などから採取した細胞を利用した医薬品を開発する子会社ヒューマンライフコードを設立した。同子会社は、2017年9月に東京大学医科学研究所と共同研究契約を結び、2017年10月には関西医科大学と再生修復治療に向けた共同研究契約を締結した。東京大学医科学研究所附属病院セルプロセッシング・輸血部では、同種さい帯由来間葉系細胞を研究しており、国産の再生医療等製品の製品化に取り組んでいる。同子会社は東京大学医科学研究所と共同し、治療ニーズをいまだ満たしていない血液腫瘍領域における希少疾患への適応拡大を検討する研究を推進していく。

関西医科大学は、患者自身の脂肪幹細胞を用いた新たな乳房再建術の研究に取り組んでおり、現在臨床研究を実施している。この新しい乳房再建術は、従来の脂肪のみを注入する方法と比較して「脂肪定着の可能性が高く、従来の方法では難しいとされる部分的にくぼんだ乳房の再建にも適用できる」ことから、治療ニーズも高く、主に乳癌の乳房温存手術後の患者のQOL向上に大きく貢献することが期待されている。同子会社は、低侵襲な乳房再建術の確立ための再生修復治療に向けた共同研究を行う。

3) ストレックス
ストレックスは、メカニカルストレス受容機構解明を目指した基礎医学研究用システムの研究及び開発製造にかかる。再生医療・組織工学に応用可能な3次元培養システムの開発に加え、iPS/ES細胞等の効果的な凍結が可能となる「プログラム・ディープフリーザー」、そして生殖補助医療用システム等の開発・製造・販売を行っている。

ステムセル研究所が有するさい帯血由来幹細胞の保管サービスのノウハウ及び十数年蓄積された品質管理体制と、ストレックスが有する再生医療、生殖医療分野での装置に関する豊富なノウハウを融合することで、再生・修復医療及び生殖医療周辺の事業基盤強化をする。


次世代型透析療法「電解水透析」の共同論文が英国科学誌に掲載
(2) 電解水透析及びMGO測定
2007年に東北大学との産学共同ベンチャー、トリム メディカル インスティテュートを設立し、電解水透析用システムの販売やブドウ糖酸化分解物(MGO)測定に取り組んでいる。全国の透析関連施設は、2016年末時点で4,396施設、135,211床であった。電解水透析装置は、16病院に導入されている。後述の東北大学との共同論文が関心を高めたおかげで、300以上の施設と交渉中である。装置の入れ替えや病院の改装時期に導入されるため、現在は種まきをし、事業機会を逸しないようにする。潜在市場規模は50億円強と大きく、納入後もメンテナンス収入が見込まれる。

2018年1月に、東北大学との共同論文がNature出版グループの発行する英国科学誌「Scientific Reports」に掲載された。5年間の調査で、電解水透析群では通常透析群と比較して、死亡・心脳血管病の発生が41%低い結果が報告された。「電解水透析」において、透析後の高血圧の改善、必要な1日当たりの降圧薬の投与量の減量、死亡率・重篤な合併症の抑制が示唆された。日本において、透析患者の心脳血管合併症の発症率は極めて高く、死亡の主な原因となる。病院にとって、患者の寿命が延びることにより治療機会も延びる、降圧剤の投与量が減少しコスト削減となる、患者の血圧が安定して緊急のナースコールが減り労務費が低下するなどのメリットが挙げられる。何よりも、患者のQoL向上に資するところが大きい。同社が参画している中国の病院でも導入されており、世界のスタンダード治療法として確立されることを目指す。

(3) 中国における日本式病院運営事業
中国における糖尿病の患者数は1.4億人以上、予備軍を含めると2.4億人以上と言われている。同社が参画している慢性期疾患治療病院運営事業は、2018年5月に北京市で第1号となる病院の開院式を実施した。フラッグシップ病院の「漢コン医院」は、200床を有し、糖尿病治療・血液透析・リハビリの日本式医療サービスを提供する。今後、立地を精査して、早々にもう3ヶ所での展開を計画している。次の候補地として、大連、上海、西安、内モンゴルなどが上がっている。パートナーへの申し込みが多い。

同プロジェクトは、国内大手商社及び地元資本とパートナーを組み、同社の出資比率は3分の1程度となる。連結子会社ではなく、持分法による投資損益が営業外損益に計上される。先行投資期間であることから、投資損失は2018年3月期に53百万円が発生、2019年3月期は180百万円が予想されている。本格稼働した際の1病院当たりの売上高は約40~50億円、売上高営業利益率20%以上を見込む。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)

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配信元: フィスコ

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