エネクス Research Memo(5):2ヶ年中期経営計画『Moving 2018』は、基礎固めを目指す

\ あなたにピッタリの銘柄がみつかる /

みんかぶプレミアムを無料体験!

プランをみる

最新投稿日時:2018/07/18 19:11 - 「エネクス Research Memo(5):2ヶ年中期経営計画『Moving 2018』は、基礎固めを目指す」(フィスコ)

お知らせ

読み込みに失敗しました。

しばらくしてからもう一度お試しください。

重要なお知らせ すべて見る

エネクス Research Memo(5):2ヶ年中期経営計画『Moving 2018』は、基礎固めを目指す

配信元:フィスコ
投稿:2018/07/18 19:11
■中期経営計画の進捗状況と今後の取り組み

1. 中期経営計画の概要と定量計画
伊藤忠エネクス<8133>は2018年3月期と2019年3月期の2ヶ年中期経営計画『Moving 2018』に取り組んでいる。この中期経営計画のコンセプトは「次のステージを見据えて経営基盤を再度足場固めする2年間」というものだ。このコンセプトのもと、1)収益基盤の再構築と、2)組織基盤の再整備に取り組んでいる。

『Moving 2018』では当初、2年目(最終年)の2019年3月期において、営業活動に係る利益185億円、当社株主に帰属する当期純利益108億円、ROE9.0%以上の達成と、2年間合計450億円の成長投資の実施を、計量計画として掲げていた。これらの中で特に同社が重視しているのが、当社株主に帰属する当期純利益の100億円台への定着だ。同社が中長期的に目指すのは200億円台へのもう一段のステップアップであるが、一足飛びにはいかない。まずは安定的に100億円を計上できる企業体力をつける期間が『Moving 2018』の位置付けであるからだ。

前述のように、2018年3月期決算は期初の業績予想に対して、営業活動に係る利益以下すべての利益項目が上振れで着地した。これを受けて同社は。2019年3月期について、中期経営計画の当初計画を修正し、営業活動にかかる利益については185億円から187億円に、当社株主に帰属する当期純利益については108億円から113億円にそれぞれ上方修正した。

また、ROE目標も従来の9.1%から9.5%に引き上げたほか、株主還元の配当性向についても、従来の“30%以上”から“40%以上”へと水準を引き上げた。後述するように投資額も増額修正を行った。


収益基盤の再構築と組織基盤の再整備がともに、着実に進捗
2. 2018年3月期の実績
(1) 収益基盤の再構築の進捗状況
収益基盤の再構築では、1)資産の最適化、2)収益力の向上、3)顧客基盤の開拓の3つのテーマに取り組んでいる。

資産の最適化においては、不採算CSの撤退がまず実績として挙げられる。前述のように、2018年3月期は76ヶ所の純減となった。直近のピークである2013年3月期末の2,182ヶ所からは、370ヶ所減少したことになる。また、“ローカルでの強みを生かす”という観点から、ホームライフ東北と東北タンク商会の経営統合を実施した。2017年3月期においては、資産最適化の一環として発電設備の一部売却を行ったが2018年3月期はそうした動きはなかった。

収益力の向上においては、電力事業に関して、新型火力発電所の仙台パワーステーションが計画どおり2017年10月に稼働を開始した。これは2017年3月期の風力発電設備の売却とセットで考えると、資産の最適化の要素も含んでいると言える。LPガス事業については、大阪ガスとの事業再編の一環で、北海道、高知、愛媛のLPガス小売り事業を大阪ガスグループより取得した。この結果、LPガスの直販顧客軒数は、取得直前の344,000軒(2017年9月末)から546,000軒(2018年3月末)へと大幅に増加した。

顧客基盤の開拓では、前述のLPガス直販顧客軒数の拡大のほかにも、電力・ユーティリティ部門でも強化を図った。具体的には、電力小売り販売を担うバランシンググループ(BG)において、ベイ・コミュニケーションズと宮崎ケーブルテレビがメンバーに加わったほか、エネクスライフサービスを設立し、代理店方式による電力小売りのプラットフォームを構築した。また、リライアンスエナジー沖縄を設立し、エネルギーサービスプロバイダ事業へ進出した。

(2) 組織基盤の再整備の進捗状況
組織基盤の再整備においては、グループ経営の経営基盤の整備に加え、人材の育成、働き方改革にも取り組むなど、多方面で様々な取り組みを行っている。

グループ経営の基盤整備という点で最も大きい進捗は、2018年4月1日付の組織改編だ。その目的は、同社グループが有する「地域ごとのネットワークを活かした事業の展開、ならびに電気エネルギーへのシフトに対応した電力事業・モビリティ事業の意思決定のスピードアップ」とされている。

具体的には、従来の「生活エネルギー・流通部門」と「産業エネルギー・流通部門」を統合し、「生活・産業エネルギー部門」に集約する一方、自動車ビジネス室を「モビリティライフ事業部」に改称・昇格し、生活エネルギー・流通部門の中にあった日産大阪販売の事業をモビリティライフ事業部に移管した。

同社はこの組織改編によって、1)地域に有する顧客基盤への戦略的アプローチ、2)更なる電力パイプラインの強化、3)自動車を核としながら新たなコンテンツでビジネスへ挑戦、の3点の実現を目指す方針だ。

ヒトに関する部分では、人材教育制度の充実の一環で海外研修制度の運用を開始した。働き方改革では、「ENEX EARLY BIRD」のスローガンを導入し、エネクスナーサリー(保育所)の開設やカジュアルフライデーの導入を行った。


『Moving 2018』 の2年間の投資計画を566億円に増額修正。事業構造改革や電源開発などに投資が着実に進捗
3. 投資計画と進捗状況
同社は『Moving 2018』の2年間で450億円の投資を行う計画で臨んだ。初年度の2018年3月期は192億円の当初計画に対して244億円を実施し、極めて順調な進捗となった。こうした状況を踏まえて、2年間の投資計画を566億円へと上方修正し、2019年3月期は新たに322億円の投資を計画している。

2018年3月期の実績のうち、ホームライフ部門の投資は大部分が大阪ガスグループの日商LPガス(株)からの北海道と四国2県のLPガス販社の株式取得にかかるものであった。電力・ユーティリティ部門の投資は約半分がTTS におけるGINZA SIXへの熱供給設備新設や既存設備の更新で、残り半分が電源開発に関する投資だった。

2019年3月期については、ホームライフ部門では引き続き事業再編を視野に、営業権買収やM&Aへの投資を計画している。電力・ユーティリティ部門では前期に引き続き電源開発と熱供給設備の更新への投資を計画している。生活・産業エネルギー部門ではアスファルトタンクやCSのシステム更新を計画している。モビリティライフ事業部では日産大阪の設備更新を計画している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

<MH>
配信元: フィスコ

関連銘柄

銘柄名称 株価 前日比
1,557.0
(03/28)
-30.0
(-1.89%)

みんかぶおすすめ