週始め年初来高安値更新するも、円高一服と貿易摩擦懸念後退で戻りを試す動きへ
先週の予測では、週末にメジャーSQやアメリカの2月雇用統計を控える中、トランプ大統領が輸入制限措置を表明したことで、貿易摩擦懸念から株価が下落し、引き続いて不安定な相場になるのではないかとしました。
結果的には、週始めこそ20937円と今年の最安値を更新してスタートしましたが、その後は関税導入に執拗な姿勢を示し、北朝鮮が核の放棄を前提としたトランプ大統領との米朝首脳会談を提案し、地政学的リスクが後退したことで荒い相場となったものの、週間をみると前週比△287円の21469円で引けました。心配していた関税導入が柔軟な方向となり、悪材料であった北朝鮮問題が好材料に転化するという想定した逆の動きとなりました。ただし、当面の動きでみると21000~22000円のボックス圏の動きであり、この動きが続くことになりそうです。
3月5日(月)は、追加関税措置が引き続き貿易摩擦への懸念から市場の波乱要因になるとされ、為替も105円台半ばでの円高のため、▼133円の21047円で寄り付いたあと、先物主導で下値を試す動きとなり、一時▼244円の20937円と年初来安値を更新し、終値では▼134円の21042円と4日続落で6ヶ月ぶりに200日移動平均線を割れました。トピックスも▼13Pの1694Pと2017年10月11日以来の1700P割れでした。
しかし、引け後のアメリカ市場で、トランプ大統領が引き続き追加関税導入に強い意向を示すものの、カナダ、メキシコへの追加輸入関税の除外の可能性を示したことで、貿易戦争懸念が後退し、NYダウは△336ドルの24874ドルと大幅高となりました。
6日(火)の日本市場は、アメリカ株高と為替の106円台への円安を受け、買い戻し優勢で一時△509円の21551円まで上昇し、大引けは△376円の21417円となりました。しかし、7日(水)になると朝方にコーン国家経済会議議長辞任の報道で、NYダウ先物が大きく下落しており、これを受けて日経平均も一時▼215円の21201円まで下げ、終値は▼165円の21252円と反落しました。
8日(木)は、追加関税からメキシコとカナダが除外される可能性が高まり、国別対応の可能性もでてきたことで過度の貿易摩擦の懸念は後退し、日経平均は△115円の21638円と反発しました。
9日(金)になると米朝首脳会談のニュースから地政学的リスクが後退したとして一時△516円の21884円まで急騰。しかし、その後は戻り売りとポジション調整の売りに押され△101円の21469円で引けました。メジャーSQ値は21575円でした。
9日(金)のアメリカ市場は、寄り前発表の2月の雇用統計では、非農業部門雇用者数は、予想の20.0万人を上回る31.3万人と2015年10月以来の高水準となりましたが、賃金の伸びが予想を下回ったことで利上げ加速の思惑が後退し、買い安心感からNYダウは△440ドルの25335ドルとなり、ナスダックは△132Pの7560Pと最高値更新となりました。シカゴの日経先物は一時107.05円の円安を受けて△345円の21695円で引けました。
今週は戻りを試す状態だが、国内政治要因に要注意
今週の日経平均は、週始めは先週末のアメリカ株式の上昇と円安を受けて買い先行で始まることが想定されます。トランプ大統領の鉄鋼、アルミへの25%、10%という追加関税もカナダ、メキシコに次いでオーストラリアも適用除外の可能性があり、さらに軽い高品質の鉄鋼製品も除外する方針であるため、過激な警戒感は後退することになります。又、米朝首脳会談が5月までに行われる意向であるということで、地政学的リスクも後退することになります。ただし、サンダーズ報道官は「北朝鮮が核放棄に向けての具体的な行動スケジュールを示さなければトランプ大統領は会議は行わない」と言っており、今後の北朝鮮の言動が要注意となります。
アメリカ株式が戻りを試せば、日経平均も連動するところですが、今週は森友学園の国有地売却問題で、近畿財務局の担当者の男性が自殺し、佐川国税庁長官も辞任したことで、麻生大臣、安倍首相の責任問題が追求されることになり、国内政治が不安定な状況となれば、外国人の売りが出てくることになります。メジャーSQも通過し、期末の決算ムードになっていきますので、機関投資家の買いは手控えられ先物主導によるインデックス買いが中心の相場となる可能性があります。
本日は、想定通り先週末の2月雇用統計を受けてのアメリカ株式の大幅上昇に連動し△356円の21826円で寄り付き、一時△501円の21971円まで上昇。しかし、「森友学園」への国有地売却に関する決済文書について書き換えがあったとの報道を受け、ドル安・円高に傾いたことで、後場中頃には一時△220円の21689円まで上昇幅を縮め、終値では△354円の21824円となりました。21000~22000円のレンジのほぼ上限の21971円まで上昇しましたが、2万円からは上値重くなりました。もし、森友学園問題が落ち着いて22000円を試す場合は、22000円の心理的フシをこえた場合は、22063円が次ぎのフシでここをぬけると、もう一段高の可能性があります。2月は調整だったので3月はリバウンドが続いておかしくありませんが、森友学園問題が落ち着かなければ外国人は買ってこないのでもみ合いが続く可能性があります。
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(指標)日経平均
先週の予測では、アメリカの追加関税の表明から世界各国との貿易摩擦が広がる懸念で相場は不安定な動きが続きそうとしました。週末はメジャーSQでもあり下値を試す可能性があるとしました。
結果的には、週始めの3月5日(月)は、アメリカの追加輸入関税が貿易摩擦を引き起こす懸念から先物主導で売り先行で始まり、一時▼244円の20937円と年初来安値をつけました。その後は関税導入は個別国ごとに対応するという柔軟な方向となり、北朝鮮リスクが大幅に後退したことで、荒い動きとなりながらも戻りを試す動きとなり、週末は一時21884円まで上昇して終値は△101円の21469円で引けました。
現時点で柴田罫線のチャートをみてみると、2016年11月9日16111円からの上昇トレンドにサポートされ、この中で21000円水準でサポートされ、2月14日の20950円、3月5日の20937円とザラ場でダブル底のような形で反発しています。2月7日の22353円を終値で上回れば、再び上値を目指す形となります。逆に20937円を終値で切ると再び大きな調整となってきます。
今週は、貿易摩擦への過度の警戒感の後退、及び、北朝鮮の地政学的リスクの後退から、円高も一服しておりアメリカ株式に連動して戻りを試す動きが想定されます。但し、森友学園問題で国内政治が不安定になれば日本株式には売り材料となって上値は限定的となります。まずは、21000~22000円の上限を試す動きとなるかどうか、ここをこえると22000円が上値ポイントとなります。
(指標)NYダウ
先週の予測では、鉄鋼とアルミへの追加関税が各国の報復関税を引き起こせば世界的な貿易摩擦となって株安の動きになるので、どこで歯止めがかかるのか見極めるところとしました。
結果的には、週明け早々、一時▼150ドル下げたところでカナダとメキシコへの追加関税は除外する可能性がでてきたことで貿易摩擦への懸念が後退し、△336ドルの24874ドルと大幅スタートとなりました。その後はコーン国家経済会議議長の辞任報道で大きく下げる場面がありましたが、追加関税についてはカナダとメキシコ以外にも国別での対応という柔軟な対応になったことで、貿易摩擦懸念はさらに後退し、週後半には北朝鮮の地政学的リスクも後退し、週末の2月雇用統計は、非農業部音雇用者数が予想を上回るものの、賃金の伸びは予想を下回ったことで市場の安心感を誘い、△440ドルの25335ドルと大幅上昇で引けました。ナスダックは再び最高値更新となりました。
今週は、追加輸入関税に関して、カナダ、メキシコの適用除外に加え、他の同盟国にも交渉余地を残したことで、過度の貿易摩擦懸念は後退し、米朝首脳会談を5月までの行うという意向から地政学的リスクも後退したことで戻りを試す動きが続きそうです。ただし、経済指標の結果によって利上げペースが早まる見方が出ると売り材料となります。チャート上は2月27日の25800ドルを終値で上回ると再び最高値を目指す形となります。
(指標)ドル/円
先週の予測では、その時点でアメリカの輸入制限措置は例外などないとしたことで貿易摩擦懸念から、リスク回避のドル売り要因を想定し、104~107円のレンジを想定しました。
結果的には、週始めに追加輸入関税の除外国としてカナダ、メキシコに言及し、その後は各国ごとに対応するという柔軟な姿勢となったことで貿易摩擦の世界的広がりへの懸念は後退し、又、北朝鮮との地政学的リスクも後退したことで、週始めの105.25円を安値にドルが買い戻され、週末は2月の雇用統計を受けて107.05円までドルが買われ、引けは106.78円となりました。
今週は、米朝首脳会談への具体的なスケジュールがみえてくるとドル買い要因となり、トランプ大統領の追加輸入関税も柔軟な対応になってきたものの、保護主義的な通商政策への警戒感は消えていないため、リスク選好的なドル買いがさらに拡大する可能性は少ないと思われます。106~108円のレンジを想定。
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