住友精はCNT関連で材料待ち、12年10月安値302円に対する二番底を形成
前週4日、住友精[東1](6355)は、4円高の343円と3営業日続伸しました。
化学工業日報が「住友精密工業は、水素ステーション用マイクロチャンネル熱交換器を開発した。水素を圧縮後に冷却するために用いるもので、従来の二重管式熱交換器に比べ50分の1の小型化を実現した。水素ステーションの設置面積を縮小することができ、コストダウンにつなげることができる。共同開発した岩谷産業の水素ステーションへの納入が始まっており、「イワタニ水素ステーション東京池上」(東京都大田区)で稼働している。年度内にさらに2件の新設水素ステーションで稼働する予定となっている。」と報じたことを材料視した買いが入ったもようです。
前週2日から4日まで東京ビッグサイトで開催された「スマートエネルギーWEEK2016」における第12回[国際]水素・燃料電池展で、同社がSOFC(固体酸化物形燃料電池)セルスタックを出品していましたから、水素関連として見直された感はあります。
同社については、水素関連の側面以外にも着目すべき材料を内包していますので、今後の動向から目を離せないと思われます。
今年に入り、戸田工[東1](4100)やGSIクレオス[東1](8101)が動意付く場面が見られていましたが、4日は日ケミコン[東1](6997)が急騰と高純度の単層カーボンナノチューブ(CNT)に絡んだ材料を内包している銘柄を物色する傾向が強く感じられます。
住友精の場合、2010年5月に産総研と日本ゼオン、東レ、日本電気、帝人と技術研究組合単層CNT融合新材料研究開発機構を設立し、電池やキャパシタ用電極材料に使用し高容量化アルミとの複合化で高熱伝導率のヒートシンクITOに代わりフレキシブルな透明導電膜シリコンに代わる半導体素子カーボンファイバーとの複合化で超高強度構造材料グラフェン透明導電膜の連続製造装置単層カーボンナノチューブとグラフェンの実用化に向けて研究開発を進めていますので、今後CNTやグラフェンに絡んだ材料が出てくるか注目されます。
株価は、今3月期業績予想の下方修正を嫌気し、2月12日に昨年来の安値311円と調整した後、320円どころを下値として固めたようです。2011年6月高値780円と買われたこともあり、アベノミクスの流れに乗れず、長いスパンで500円どころを上値にもみ合っていましたが、12年10月安値302円に対する二番底を形成した感があります。
PBR0.53倍と割り負け、14日発売の四季報において来17年3月期業績回復観測が改めて明らかになれば、出直る動きも徐々に強めると期待されそうです。航空宇宙関連の側面もあり、材料発表待ちのスタンスで買い余地はありそうです。
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