<前半まで堅調だったが、週末は地政学的リスクで25日移動平均線を下回る>
先週の予測では、ポルトガルの大手銀行の信用不安は限定的となって、早期に回復した25日移動平均線を守れるかどうかとし、先週も引き続き海外要因に左右される展開になるとしました。
結局、週前半はポルトガルの大手銀行の信用不安は限定的となったことで、前週まで5日続落の反動から押し目買い優勢となり、アメリカ株式も銀行やハイテク株の決算が予想を上回ったことでNYダウは史上最高値となり、日経平均は14日(月)にすぐに25日移動平均線を回復した後は順調な戻りとなって、17日(水)には15465円と7月4日の戻り高値15490円まであとわずかのところまで上昇しました。しかし、週後半の18日(金)は、前日にウクライナ東部でマレーシア航空の民間航空機が撃墜され、イスラエルがガザ地区へ地上侵攻を開始したことで地政学的リスクが高まり、欧米株式が大幅下落してリスク回避の円高となったことで、日経平均は15110円まで下げて▼154の15215円となりました。再び25日移動平均線(18日15273円)を下回って引けました。
週末18日(金)のアメリカ市場は、マレーシア機撃墜は大規模な戦闘には発展しないとの見方が浮上したことで地政学的リスクがいったん後退し、好調な企業決算を評価する動きとなったことでNYダウは△123の17100ドルと大幅反発し、為替もドルの買い戻しで101.40円となりました。シカゴの日経先物も△115の15325円で引けていました。
<15100~15500円の間で、好決算銘柄とテーマ株物色の動き>
今週は、旅客機撃墜によるウクライナ情勢の緊迫化など地政学的リスクの高まりはあるものの、アメリカでは決算のピークとなり、その70%強が予想を上回るとの見通しから、その通りであれば15100~15500円の中で一進一退の動きとなりそうです。
国内的には、今年の1月23日の15958円(2番天井)の信用期日通過となって需給関係が多少改善し、今週より本格化する4~6月期決算は全般的に企業業績を保守的にみているため、上ブレ期待が下値を支えることになります。日経平均の指数は上値を押さえられても好決算企業は上昇し、又先週は東京都心での再開発関連ニュースが相次いで建設株などの内需関連株が買われましたが、今後もテーマの物色は活発となりそうです。
例えば、リニア建設については事実上決定され、カジノを中心とする統合型リゾート施設(IR)の整備のための新組織を作る方針を固め、水素をエネルギーとする燃料電池自動車関連に補助金を出すことも決まりつつあります。日経平均の指数の上値が重い場合は、これらをテーマにした物色がなされることになりそうです。
本日22日(火)は、3連休の間に地政学的リスクがそれほど悪化しなかったことや昨日のアメリカ株式が大きく下落した後に戻して終わったこともあり、買い安心感から4日ぶりの反発となりました。先週末18日(金)の下げ幅を取り戻す形になりましたが、この日に空いた窓の15370円(17日の終値)を埋めると、更に上値を追う動きとなります。△127の15343円で引けました。
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(指標)日経平均
先週の予測では、欧州の信用不安への懸念が広がれば上値の重い展開が続くが、早い段階で25日移動平均線を回復しないと調整が長引くとしました。
結局、欧州の信用不安への懸念が広がらず、アメリカでの好決算を受けてNYダウが週半ばに史上最高値を更新する動きとなったことで、日経平均は前週の5日続落の反動からの上昇もあり、週半ばまではしっかりした動きとなって17日(木)は15465円までありました。しかし、週末の18日(金)は地政学的リスクからのNYダウの大幅下落と円高を受けて▼154の15215円と再び25日移動平均線(15273円)を割って引けました。
今週は、先週末の地政学的リスクが続く可能性が高くリスク回避の円買いもあり、海外シェアが過半数を占める日本株式市場は上値の重い展開となりそうです。下値ではアメリカ企業の好決算や年金の買いがサポートするため下値は限定的で15100~15500円の日柄調整が続くということになりそうです。
連休明けの22日(火)は、3連休の間に地政学的リスクが悪化しなかったことや前日のアメリカ市場が大きく下げたあと下げ幅を縮小して引けたことや為替が101.09円をつけて101.40円近辺まで戻ったことで先週末の下げ幅を取り戻す上昇となって、△127の15343円で引けました。
(指標)NYダウ
先週の予測では、基本的には4~6月期の決算発表を受けて一進一退の動きとなりそうですが、ポルトガルの信用不安が広がれば下げは大きくなるとしました。
結局、ポルトガルの信用不安は広がりをみせなかったことで銀行や半導体関連企業の好決算を好感して、週前半は高値を試す動きとなり、16日(水)は△77の17138ドルと史上最高値を更新しました。ところが、17日(木)は17151ドルの高値をつけたあとウクライナ東部でマレーシア航空の民間航空機撃墜が起こり、続いてイスラエルのガザ地区侵攻の発表という地政学的リスクを受けて、▼161の16976ドルの大幅下落となりました。週末の18日(金)は、地政学的リスクの懸念が和らぎ△123の17100ドルと反発して引けました。柴田罫線では、上向きの三角保ち合い(B)の上値斜線にあたったところですので、ここを上放れするにはあと1本の陽線が必要となります。
今週は、4~6月期決算ピークであり、7割強の企業が予想を上回る可能性が高いために上値を試そうとするものの、先週末の地政学的リスクとの綱引きとなってもみあいとなりそうです。
週明け21日(月)は、今週の主要企業の決算発表を前に様子見ムードのなかイスラエルのガザ地区侵攻が激化したことや原油価格の上昇を嫌気して一時▼125の16974ドルまで売られ、終値は▼48の17051ドルと下げ幅を縮小しました。
(指標)ドル/円
先週の予測では、ポルトガルの信用不安が限定的であれば101.0~102.0円のレンジの中で、イエレン議長の議会証言に注目としました。
結局、イエレン議長が議会証言で出口戦略に言及したことでドルが強含み101.79円まで上昇するも、ウクライナ東部でのマレーシア航空機撃墜やイスラエルのガザ地区侵攻という地政学的リスクで101.09円までリスク回避の円買いが進行、しかし週末の18日(金)は101.40円までドルが買い戻されました。
今週は、先週末の地政学的リスクから安全資産とされる円買いが進みやすい地合いが続きそうです。但し、アメリカで消費者物価指数の発表で予想より早いペースで物価上昇が確認できれば、利上げ観測が高まってドル買いが進むことになります。100.8~102円の狭いもみあいを想定。
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